厳選した国産信州牛すきやき、しゃぶしゃぶ、焼肉の宗石亭[長野県須坂市]

ギュウブロ

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2016年04月22日
西へ旅立つ 信州牛ものがたり 青春編

頭上高く鳴く、鳶の声で庸夫は目覚めた。
「ここは何処だ…」
見覚えのある風景であったが、思い出せない…
体に痛みを感じる。
愛車陸王も近くにあった。

辺りを見渡すとここは延徳田圃であった。日はすでに西に傾いている。
彼はこの状況をやっと思い出していた。農家回りの帰路、バイクの運転ミスで田圃に落ちてしまったのだ。幸い大きな怪我はしていない。愛車陸王も田に水は無かったため、多少汚れただけで済んだ。
しかし、時計を見ると夕方に近い。4時間近くも気を失っていたらしい。いや、寝てしまったのか?

若さに任せ、働きに働いていた庸夫。無理を重ね、疲れと寝不足で運転が荒くなっていた。何事も無かったように店に戻ったが、後に思い出すと「俺は運が良かったんだなぁ〜」と感じる程、危険な場面でもあったのだ。

これを機にバイクの長距離運転に限界を感じ、自動車に切り替える事に決めた。彼の陸王は単なる道具で、手放すことに未練は無かった。
信州全域、集荷に走り回るようになって、バイクでは効率が悪い事も感じつつあった。
陸王はカッコ良かったので乗っていたが、畜産の仕事に合理的で無いと感じると、さっさと手放した。
この機転の早さ、決断力こそが、庸夫の生涯続く成功と挫折の本質となる。
 
朝令暮改。
リーダーを揶揄する際に使われる言葉だ…
変化に機敏、生き残るために必要な資質でもある。