厳選した国産信州牛すきやき、しゃぶしゃぶ、焼肉の宗石亭[長野県須坂市]

ギュウブロ

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2015年12月14日
「俺はこれだと思った」庸夫と信州牛黎明期 弐

 支店配属、これがどうもいけなかった。初めて実家以外の場所…母や兄たちの目を逃れてパチンコにのめり込んでしまう。本来ギャンブルは好まなかったが、なにしろ暇が有り過ぎた。人生の目的らしいものも、どこにも見当たらない…
 まだ、自分の将来を決めかねていた庸夫には悶々とした辛い日々だった。
「俺は食べるのが大好きだし、洋食の板前でも目指そうか…」とぼんやり考えている少年時代、まだ畜産そのものには興味を持ってない庸夫であった。

 精肉店では現在のように牛豚の骨などは不足することもなく、家族、従業員の賄いのご馳走といえば、豚骨スープ!
 母は料理上手で店の余り物で子ども達の腹を満たした。庸夫にとっスープ料理は特別な思い入れがある。濃厚なダシに自家製のウドンや中華麺、焼豚こそ入っていなかつたけど、骨までしゃぶり尽くしたものだ。
 食いしん坊庸夫の味覚の原点は、こうして母の作る豚骨うどんラーメンから始まる。「洋食の板前」に漠然と憧れていたのも、そこにしか好きなものが無いような気がしていたからだ。

 そして渋温泉での月日も経ち、件の「金倉の牛事件」があった。本人の勘違い、大人達の噂話、茶飲み話みたいなものだったかもしれない…
 しかし、家業が皇族にも認められる、社会にとって有益な職業だと、勝手に思い込んだ少年の、その後の彼の人生の指標となる大きな出来事であった。