厳選した国産信州牛すきやき、しゃぶしゃぶ、焼肉の宗石亭[長野県須坂市]

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2018年02月05日
熟成肉に思うこと:プロ向け記事

田舎ではあまり耳にしませんが、都会の飲食店では「熟成肉」というワードが入った飲食店が普通に見受けられます。
60歳以上の牛肉中心の精肉店、特に西日本の精肉店のご主人でしたら「何を今更?」と思われている方も多いのでは…と思ってます。
若い方々、私の息子を含めて次世代に向けてのメッセージです。

私達爺の青年期には、真空パックのお肉なんてありませんでしたよ。
肉屋には枝庫があるのが当たり前、流通はすべて骨付きでした。
当然必然として「枝枯らし」状態で管理されます。

現在の調理現場で、そんな昔話をする人がいたら幸運です。
そんな人達に聞いてみてください。
「昔の牛肉の方が美味しかったのですか?」という素朴な疑問を…
たぶん、そんなこと無いとお答えになる方々が多数だと思います。
食べ物なので、好みがあるし、客観的な指標を求めにくいのですが…

ただ、若い人達が過剰に熟成に期待し、正解を求めるがゆえに「つまらない事故」を起こして欲しく無いと願うばかりです。

昔の肉は旨かった、なんてこと言う人がいますけど、懐古趣味というか、牛肉が特別な食べ物だった頃の憧憬が混ざっていませんか?
すき焼を食べるなんて年数回。
しゃぶしゃぶも焼肉も回転寿司も安い鰻も無い時代。
今とはご馳走の価値が全く違いました。

20180205-1.jpg

昭和40年後半頃からだと思います。
VP(真空包装)技術により様々な食品の安全性が向上しました。
食肉分野が、最も恩恵を受けているのかと思います。

当店の先代もVPを認めようとしませんでした。
確かに加工技術も当初は未熟で、日持ちも悪かったように記憶しています。
この頃も牛肉の熟成議論は盛んにしていました。
肉を寝かせるならVPはダメだ。蒸れる、臭うなど、現在と同じ議論を数十年前に食肉業界全体でしていました。

結果が現在の流通状態です。
議論した末に、肉の熟成、枝枯らしという言葉すら業界全体から聞こえてこなくなりました。
しかし、もう一度過去の良いものを掘り起こすのは良いことです。
現在、芝浦の最大手牛肉問屋が熟成牛肉を最高の設備で加工し、流通させています。興味があるなら、まず本物を手に入れてください。

ただ、トレンドに合わせ、自己流でいい加減な物を流通させるのはやめましょう。熟成には多大な設備が必要なのです。
飲食店の厨房で出来ることではありません。
第二のユッケ事件を起こさないためにも… 次回は風味について(続く)